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田辺誠一(俳優)

どれだけコップに水を注いでも決して満たされることのない多感な年頃の、
言葉に出来ない感情を優しく描いている。
存在と喪失、自分と他人、希望、それらに愛をトッピングした、
繊細でユーモアがあって、そして美しい映画です。

長崎俊一(映画監督)

主人公たちを見ているのが、とても気持ち良かった。
これって、相当な演出力だと思う。「頼りなさ」が、
共感とか、説明とかではなく魅力的に描かれていた。
これも、相当強い意志と、確かなテクニックが必要だ。
ところが、この映画は、さらに、
主人公と同じように最後に一歩を踏み出す。
どこかはわからないけれど、
確かに一歩を踏み出したと感じる。
風間さんの達成と勇気に驚いた。

小日向文世(俳優)

悲しくて切なくて そして孤独で・・・・希望が持てなくて。
生きて行くって大変だチョコリエッタ。
でも夢と現実が混ざり合う時間が温かくて・・・・あー映画で良かった。
痛いくらい繊細すぎる風間ワールド。

ジェイコブ・ウォン(香港国際映画祭キュレーター)

若い二人が、映画の魔力を通じて人生の意味を見つける美しい旅の物語であり、
同時に、我々がいまだ愛してやまない“映画”のスワン・ソングでもある。

(注:Swan song=白鳥が死ぬまぎわに奏でる美しいメロディー。転じて、鎮魂歌。)

三宅伸治(ミュージシャン/「JUMP」作詞・作曲者)

旅、大切な人…大切な事への喪失感、
いろんな想いが重なりました。
今の日本…NO NUKESのメッセージも…
放射能のメッセージは、
今の日本でとても大事なメッセージだと、思います。
世界に発信してください。
世界から、
日本を変える事もあり得ないことでは、ない…と思います。
「JUMP」 アレンジと声が、新鮮でした。

川瀬陽太(俳優)

とにかく学校のポスター一枚から不穏な話なのだと覚悟させる。
チョコリエッタ、先輩、オヤカタ日の丸の先生はじめ登場人物それらがこちらを挑発、
案の定こちらはイライラさせられ通し。
燃える8ミリフィルムに呼応するかの様に放射線の影響でキラキラ光るデジタル画面の世界。
こんな時にホれたハれたかよ、映画かよ、みたいな。
そして震災後のシューダン的なんやらな世界、当然2人はヒバクする。
だがここで生きている。生きていく。映画を撮る。
だってまだそこに恋もありゃあ走るべき海はあるし、
ゴウゴウ燃やすモンもあって、それって自主映画の常套じゃないか。
ここにきて風間さんのストレートな現状への立場表明を観ました。

室井佑月(作家)

きれいな記憶の風景をつなぎ合わせたような映画。
あたしにも 知世子のように、自家中毒に陥っている思春期があったよなぁ。
美少女じゃなかったし、優しい先輩もいなかったけど

矢田部吉彦(東京国際映画祭 作品選定ディレクター)

元祖天才少女風間志織は、
今なお少女の天才であった。
少女の瑞々しさとは何たるかを知り尽くし、
スクリーン全面に
若者たちの感情の揺れを描き出す術を備えた
監督の心の中は、
いつまでも少女であるに違いない。
ちょうど、ジュリエッタ・マッシーナが
永遠の少女の面影を残しているように。

大西信満(俳優)

主演二人の眩い煌めき。
その光の儚さを知る監督の眼差しは
少し哀しく、とても優しい。
いつしか年令を重ねて澱み濁ってしまった血が、
少しだけ濾過された 気がしたのは錯覚だろうか。

瀬田なつき(映画監督)

触りたくなる坊主頭、なんか不満そうな顔、潤んだでかい瞳、ワンピースから伸びる無防備な脚、
ずっと見ていたい、森川葵しかできない、あの夏の、不機嫌でふざけて真剣なチョコリエッタが、そこにいました。

ジュリエッタ